【デザイナー紹介】エリザ・デフォッセ・菊地 (後編)- 絵日記から着想したコレクション -

トレファトレファから5つのデザイン(各5色展開)によるコレクションを発表するエリザ・デフォッセ・菊地さん。後編では、今回のトレファトレファのコレクションについてお話を伺いました。

※デザイナーとしてのルーツや表現したいことについて伺った前編はこちら

「手触り」をプリントで表現

―今回のコレクションテーマである「手描きの手触り」についてお聞かせください。

エリザ:織生地の構造デザインもしている私にとって、テクスチャーや色の組み合わせはとても大事な要素です。今までデジタルプリントで作品を作ったことはなかったので、機械印刷でありながら思わず触りたくなるような温かい手触りやテクスチャーを表現することを目指してすべて手描きでデザインしました。

5種類のデザインは、どのようなきっかけで思いついたのでしょうか?

エリザ:すべて私の絵日記から拾ったものがベースになっています。もう何年も絵日記をつけていて、日々の中で面白いと思った線とか形を描きとめているんです。柄を考えるときは、この絵日記を見返して改めて描き起こすことが多いです。

今回のデザインは、グリッド、線、点など、シンプルなものが多いのですが、それらは絵日記をもとに織物からインスピレーションを得ました。デジタルプリントで織りを感じさせるデザインをしてみようと、まるで織物のように見る角度によって糸の色が変わっていく感じ、重なりで色が変わる感じ、近くと遠くで全体の見え方が変わる感じなどを、点や線で表現することに挑戦しました。

―デザインや色で特にこだわったところはどこでしょうか?

エリザ:最終的な色のイメージをつくるところにこだわりました。近くで線や点だけ見ても、遠くから全体を眺めても、色として完成しているように。今回使っている色は、私が絵の具で作った色なんです。実は色日記もつけていて、気になる色や印象的な色を見つけた時に、色を作ってチップにして残しています。このコレクションはすべて色日記の色を使えたことが嬉しかったです。色見本に沿って職人さんが色調整をしてくれました。

また、クオリティを感じさせるデザイン質感であることも意識しました。

組み合わせの面白さを提案

―デザインしたファブリックをどんな風に使ってほしいですか?

エリザ:シンプルですっきりしたインテリアに、アクセントとして温かさを加えるアイテムとして使うのはどうでしょうか?また、すべての柄、色を組み合わせても喧嘩せず、まとまりが生まれるようになっているので、違う柄や色を組み合わせて使うのも面白いと思います。グリッドとドットで表現した Tahti (タフティ) やストライプ柄の Rivit (リビット)は、カーテンなど広い面積にシンプルで使いやすいのではないでしょうか。

どのデザインも気に入っているのですが、私個人としてはベージュや緑が好きなので、各柄のベージュや緑のアイテムを自分でも使いたいなと思います。

―最後にお客様へのメッセージをお願いします。

エリザ:このコレクションのやさしい色合いや揺らぎのある線が日常のインテリアに温もりをもたらせたらいいなと思います。色をミックスして遊んでもらえたら嬉しいです。

エリザ・デフォッセ・菊地 / デザイナー

ベルギー、ブリュッセル出身。ベルギーのラ・カンブル大学で工業デザインを、フィンランドのアールト大学でテキスタイルを学び、卒業後はフランスへ渡り、エルメスのビスポーク部門でデザイナーとして従事した後、2021年ヘルシンキにて自身のデザインスタジオを設立。2024年にはライフスタイルブランド「nuku」をスタート。
フィンランドと日本を行き来しながら、テキスタイルデザインを中心に、プロダクトデザイン、インテリアデザイン、ファッションデザイン、コンセプトデザインなど、様々な分野で活動。自然や日常生活から受けたインスピレーションをもとに、繊細な色やマテリアルを通して温もりを感じさせるデザインを目指している。

掲載商品はこちら